映画「私の中のあなた」これは仏教的にどう見るか

　アメリカ映画「私の中のあなた」といえば、キャメロン・ディアス
が初めての母親役に挑戦するということで、話題ではあるが、もっと
すごいのは、その内容です。

　彼女扮する母親は、腕利き弁護士だったが、女児出産とともに、
弁護士をやめて「この子を生かすために、私はすべてをかける」と
決意する。
　なぜなら、その女の子ケイトは、白血病だったからだ。
　ケイトを助けるためには、何だってやる。そう決めた彼女は、ケイト
の妹を産むことにした。しかも、遺伝子操作をやって（これは映画の
中だけのことで、現時点では、違法である）ケイトと同じものにして、
生まれると同時に、臍帯血をとって、ケイトに使い、その後も、血液
だけでなく、内臓を一つずつ切り取っては、次々とケイトに移植して
いくのである。
　この妹、アナは、小さいころは、何のことか分からないが、１３歳
になった時、次は自分の腎臓を切り取られて、姉に移植されることを
知り、「自分の体は、自分で守らねば」と、両親を相手に、裁判を
起こす。
　母は、アナに、「私は、ケイトを死なせはしない。そのためには、
何だってやるわ。あなたは、お姉さんを見殺しにするの！」と言う。
　やがて・・・。

　これ以上書くと、映画のネタばらしになるので書きませんが、誰か
を生かすために、生まれさせられた命、遺伝子操作や、クローン人間
などが生み出されると、現実に、こういうアナのような存在が生まれ
てきてしまいます。そんなとき、人類は、どう対処すればよいか？
　
　作品では、そうまでして守られてきたケイトですが、いよいよ死期
が近づいてくるのです。母は、妹は、そしてケイト自身は？
　こういう作品を見てくると、
「そこまでして、なぜ人は生きねばならないのか」
という、大問題が、突きつけられてくるのです。
　こういう病気であろうが、なかろうが、生きている人はすべて、
この問いを、突きつけられているのです。
　そして、受け売りの答えや、保留や先延ばしは、許されないのです。

　もちろん、この話は、架空のストーリーです。
　しかし、投げかけた問題は、極めて大きなものといえるでしょう。

（内容については、毎日放送ラジオ、浜村淳さんの、映画サロンを
　参考にさせて頂きました。有り難うございました。
　お礼に、そのサイトに、リンクをさせて頂きます）

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