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三業惑乱
瑞泉寺の門

 当時、越前、今の福井県を中心に、十劫安心が
蔓延していた。(無帰命安心ともいわれる)

「すでに助かってしまっているのだから、今さら
求めることも聞き歩くこともいらない。ご恩報謝
のお念仏の日暮らしをさせて頂きましょう」


という間違った信心である。

 本願寺は、この異安心を正すため、功存を越前
に派遣した。(彼は、福井の出身でもあった)
 功存は、

「後生は一大事、信心獲得しなければ助からないぞ」

と「信心獲得」を強調した。異安心の首謀者を、
徹底的に破ったのである。

 ※参考 「この信心を獲得せずば、極楽には往生せず
      して、無間地獄に堕在すべきものなり」
               (御文2帖2通)

 ところが、
「一息切れたら後生は一大事」
「一日も急いで信心獲得せよ」
と強調するほど、
「どうしたら早く獲信できるのか」
と求める声が高まってくる。

 寛政九年、七代目能化を継いだ智洞は、とんでも
ないことを言い出した。
「一日も早く信心決定するには、阿弥陀さま、
 どうかお助けくださいと、
 一心に念じ(意業)
 口で言い(口業)
 礼拝して頼まなければならない。(身業)
 この身、口、意の三業で阿弥陀仏に、お願いしな
ければ、信心は頂けないのだ」


 これを「三業安心」という。
 十劫安心を正そうとした、その反動で、今度は
信仰の振り子が「三業安心」へと大きく傾いたのだ。
                   (つづく)
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